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『Another』初版刊行時の綾辻行人サイン会・トークイベントに参加

Another

綾辻行人という作家……古くからのミステリーファンの人にとっては「十角館の~」「館シリーズの~」、「新本格の~」という形容詞付きで語られることが多いと思います。
自分もファンであり、『十角館の殺人』なんて旧文庫版と新文庫版と2冊も持っています。

ただ、近年読者になった人の中では綾辻行人といえばまず『Another』を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? 
なにしろ、『Another』はアニメや映画にもなったし、いとうのいぢ氏がイラストを描いたラノベとしても売り出されたりしましたしね。「Anotherなら死んでいた」なんていう流行語まで生み出しましたしね。

目次

『Another』刊行記念 綾辻行人トークイベント レポート

早稲田大学・大隈講堂の時計塔>

今(2021年)から、もう10年以上にもなりますが、2009年に『Another』の初版が刊行されたとき、全国の何カ所かで、作者・綾辻行人のサイン会やトークショーが開催されました。その中の一つ、早稲田大学でのサイン会・トークイベントに参加してきました。

トークイベントの概要 ( 2009年「Another」刊行時 )

<主催>

早稲田大学生協・ワセダミステリクラブ

<日時>

2009年11月19日(木)18:00~20:00(開場は17:30)

ちょうど18時に終わる大学の授業もあり、授業が終わってから駆け込みで来る学生もいるだろう、ということで実際には5分遅れぐらいで始まりました。

18:00~19:00ぐらいまでが、綾辻さんとワセダミステリクラブ若林さんとのトークセッション
19:00~19:30ぐらいが、会場からの質問を受け付けるセッション
19:30~    がサイン会

<会場>

大隈ガーデンハウス2階。

<大隈ガーデンハウス2階の写真。ここの机、椅子を並べ替えて会場としていました。>


大隈ガーデンハウスとは、早稲田のシンボルである大隈講堂の裏にある建物です。

当日は小雨で、18時近くになるともうあたりは暗く、大隈講堂の時計台の時計盤のあたりが照明でぼうっと浮き上がる感じで、なんだか『時計館の殺人』の時計塔を思い出しました。
大隈ガーデンハウスの2階はカフェテラス式の学生食堂ですが、この日は、本イベントのために、椅子を並べて会場を設置していました。
綾辻さんの控え室は同じく大隈ガーデンハウス2階の端を衝立で仕切った一区切りの区画。

会場入り口にはトークイベントのポスターと綾辻さんのサイン入り色紙が貼られていました。
色紙には「早稲田大学生協さまへ  <死者>は誰?  綾辻行人  2009.秋」と記載。

また『Another』がタワー積み。会場では、生協会員でなくても生協会員価格(1割引)で購入できました。
私は先に生協によって購入したので1割引でなく定価で購入(生協会員でないもので)。
会場で買えばよかったかな、と後悔。
なお、生協では、『Another』の横に、『時計館の殺人』『殺人鬼2』『どんどん橋落ちた』『緋色の囁き』などの綾辻さんの他の著作も平置きで山積みされていました。

当日の会場は、暖房が効いておらず、寒かったです。(11月中はECOキャンパスで暖房を入れない、とのこと)

トークセッション( 2009年「Another」刊行時 )


18時5分過ぎぐらいに綾辻さんが登場。
いつもの通り、黒い帽子、コート、ズボン。赤いシャツ。靴は青いスニーカー(コンバースかな?)。最初マスクをしていましたが、檀上にのぼるとマスクをはずしました。「『Another』のサイン会やイベントは今回で最後なので、もう風邪で倒れても大丈夫だからマスクははずします」とのこと。

トークセッションは、綾辻さんがワセダミステリクラブ(以下ワセミスと略)の若林さんの質問に答える形で進行。
若林さんは緊張気味。

写真撮影はOKでしたが、録音は禁止だったので、以下はメモより再現。細かい箇所は間違っているかもなので、ご容赦を。

ワセミス若林さんからの質問

以下、○印に続く文が、ワセミス若林さんからの質問内容。
その下の文章が綾辻さんからの答えです。

○このトークイベントのいきさつは?
早稲田にきたのは実ははじめて。『Another』を今の大学生にも読んでほしいな、と思い、早稲田生協やワセミスに声をかけて実現した。

○『Another』の構想など
2006の初夏から連載を始めた。構想は2006年の初めぐらいにできていた。
大まかなストーリーは最初からできていた。僕は練りながら書くタイプではない。
ゴールは最初から決まっている。ゴールに向かう途中で左右にそれたりはするが、別のゴールにいってしまう、というようなことはない。
ただミサキメイについての前半部分の謎にいてはかなり昔から考えていたこと。
テーマも先に決めておくということはない、後からついてくる。
2000年以降に書いたもの――『暗黒館の殺人』、『びっくり館の殺人』、『最後の記憶』、『深泥丘奇談』と『Another』は全部つながっている、同一線上にある。
自分の作品で、ここまで大々的に超常現象を取り上げたものはなかった、そういう意味ではモダンホラー。

○なぜ青春小説か? 中学生が主人公なのか?
連載するとき『野生時代』では、青春小説がはやっていた。
当時の編集長からも「青春ものを」といわれた。
中学生が主人公というのは、今までやっていなかった。たまたま空いていたので、今回は中学生を主人公に、ということもある。
あと、小学生だと少し子供過ぎる、高校生だとやや大人過ぎる、この作品の主人公として、中学生だとちょうどいい、というところ。

○時代設定が90年代後半の理由
90年代後半を舞台にしたのは多面的な要因がある。
書き始めたのは2006年だけど、リアルタイムの2006年の中学生を書きたくなかった。
言葉づかいも「チョーうぜえー」とか使わなきゃいけないような気がして。
70年代あたりの中学生、とすると昭和ノスタルジーになってしまいそうなので、それも避けた。
2006年だと中学生に携帯電話が普及している。90年代後半だと、携帯電話をそろそろ中学生も持ち始めている、が、持っていない人も多い。そういう時代を選んだ。

○『Another』を書くにあたって意識した作品は?
意識した本は恩田陸『六番目の小夜子』。解説も書いた。
書き始めは意識したが、書いていくうちに気にならなくなった。
後書きにもあるように、映画『悪を呼ぶ少年(the other)』も意識。
『暗闇の囁き』も『悪を呼ぶ少年』の影響あり。
あと映画『ファイナルディスティネイション』も意識。『ファイナルディスティネイション』は飛行機が落ちるシーンがある。もともと飛行機が苦手なのだが、ちょうど札幌に飛行機で向かう前に、この映画を見たので怖かった。

○『Another』のテーマについて
テーマありきの小説ではない。トリックのネタやプロットがまずある。
書いていくうちに、こういったものをテーマにしていったらいいのかな、というものがでてくる。
テーマのようなものとしては、「つながる、つながらない」といったことや「孤独であること、ひとりであることの自由」といったもの。
NTTドコモのCMで「ずっとつながっていないとダメ」というようなのがあったけど、脅迫のような気もする。孤独であることの自由、ということからメイのようなキャラクターをつくった。
(――ここで、「つながる、つながらない」といった話をしているところで、綾辻さんの携帯の着信音が鳴った。ちなみに着信音は映画『エクソシスト』の曲で、携帯は濃い赤色の機種。
有栖川有栖さんからの電話だった。
『ミステリージョッキー2』のサイン会の日取りの打ち合わせを決めていた。
最後に、有栖川さんから「ワセミスばんざーい」というメッセージをもらった。)
携帯や「つながる、つながらない」という話しをしているところに、電話がかかってくるなんてすごい偶然。

○好きなキャラ
鳴はいい。中性的な美少女。男の子のあこがれですね。
勅使河原は期せずしていいキャラになった。愛すべき馬鹿を書いたのははじめてかも。

○続編について
続編の予定は今のところない。ただゼロではない。もぞもぞっとしているアイデアはある。
ただ、同じキャラでは書きたくない。5年後の鳴なんかは見たくないだろう。
続編があるかどうかは『Another』の売れ行き次第かも。

○学生時代について
マージャン、バイク、音楽、ミステリーだった。
(ワセミスの若林さん曰く、ワセミス先輩の北村薫さんも、学生時代にしたことを聞いて、まずはじめにでてきた答えが、「マージャン」でした)
その頃、学生ではマージャンがはやっていた。バイクは日常の足。

○学生時代の愛読書
大学時代は、うめずかずおは何回も繰り返し読んでいた。何回読んでも発見があった。
浅田哲也の『マージャン放浪記』、これは冒険小説だと思った。
マックスウェバーの『プロテスタンリズムの倫理と社会主義の精神』(略称「プロリ」)は論理のアクロバットがあり感動した。

○京大ミス研、ミス研の後輩などの話
1984のミス連の熱海合宿で、島田荘司に『どんどん橋落ちた』の原型を読んでもらってほめられた。
5回生の時、安孫子武丸と法月綸太郎がミス研に入ってきた。安孫子と法月は同期で仲がよい。

法月は入ってきたら大学ノートに『密閉教室』の原型となるもの(「A day in the life」)を書いていた。
自分はちょうどその頃、小野冬美と『十角館の殺人』を書いていた頃。
法月は作家になってから作品が描けない時期、夜中にカラオケにさそって歌を歌ったりしていた。

我孫子武丸は今も昔も同じ顔、老け顔だった。
我孫子の才能を認めたのは、彼が大学3年の時、『ディプロトドンティア・マクロプス』の原型を読んだとき。

摩耶雄高は、京大熊野寮という汚い寮があってそこに住んでいた。本人は作家になる気はなかったのかもしれない。変わった作品(『翼ある闇』)を書いていたからハードカバーで出しちゃえ、という感じで出したら、ボコボコに叩かれた。
21歳で『翼ある闇』を書いた彼は天才。

巽さんは、これぞ「知性」と思った最初の人。

中西智明は、『消失』を書いた人。マジック売り場でバイトしている彼と知り合った。その後、京大ミス研にくるようになった。

清涼院流水は、「こんなサークルいたらだめになる」と途中でミス研やめちゃったので、あんまりOB扱いではない。

大山誠一郎は、清涼院とは対照的。まじめな人。まじめな作風。

円居 挽。京大近くの定食屋の名前をペンネームにした。京大OBが聞くと笑うかも。

○作家をめざす人に
作家という職業に就職するわけではない。小説を書いた結果、本が世に出れば作家になる。逆。
「途中まで書いた」「構想はある」で終わらせるのではなく、完成させることが大切。
自分が何を買きたいのか、書きたいもののビョジョンを持つ。
漫画でもアニメでも映画でも楽しむこと。楽しむ、面白がるということを忘れると何もでてこない。楽しむことからはじまる。
漫画、アニメ、映画を批判的に見ることは簡単。しかし批評的に見ることは難しい。あと批評している自分を批評すること。批評していると自分に酔ってしまうかもだから、そういう自分を客観的にみる眼も必要。
こういうのが流行っているからこういうものを書くという、マーケティングしたらだめ。マーケティングしたらそれ以上のものにはならない。自分が書きたい、楽しいと思うものを書く。自分はそうやってきたし、周りの人もそう。

会場からの質問

以下○印に続く文が、会場からの質問。
その下の文章が綾辻さんからの答えです。


○登場人物の名前はどうやって決めるのか?
なんとなく。語感がいいからとか。
霧越邸のときは名前を決めるのは大変だった。
最近ではよくある名前だけど、ちょっと普通とは違う漢字を使うとか。メイの鳴の字みたいに。軽くひねる感じ。

○一番好きな作品は?
『暗黒館の殺人』。別格で好き。
『どんどん橋落ちた』も好きだけど、ちょっとはずかしいですね。

○『十角館の殺人』みたいに、京大ミス研では、部員を、エラリーとかアガサとか呼び合っていたのか?
そんなことはない。トリックのために必要だから。
ペンネームは持っている人もいるが、ペンネームで呼び合うこともない。
当時にミス研の人達からは怒られた。

○ミス研、大学ごとの違いは?
ワセミスのが全然歴史は古い。出版会社との結びつきも多くありそう。
京大ミス研は、腐っても京大生みたいな感じでプライドが高いかも?

○館シリーズは10巻で完結か?
最初は4冊で終わる予定だった。つまり『人形館の殺人』で終わる予定だった。好評につきその後も続いた。エラリークイーンの国名シリーズが10作あったりするのをまねして館シリーズも10冊といっている。最後の10作目に、ものすごいシリーズの真相が出てくるとかそういったことはない。
10作書いたとしても、いいアイデアがでてくれば更に書くかも。

○次に漫画化してほしい作品は?
『どんどん橋落ちた』(半分冗談ぽく)
囁きシリーズかな。児島さんまたやってください。(会場には、『緋色の囁き』の漫画を手がけた児島都さんも来ていました)

○気になる作家は?
辻村深月と道尾秀介を応援していた。けど人気ものになっちゃったのでもう応援しなくていいかな。
最近では詠坂雄二を応援している。『リログラシスタ』などを書いた。そのうち何かやってくれそう。
新人では両角長彦さん。『ラガド』という変わった作品を書いてる。

○伏線の張り方について
伏線は、ここまで書くとばれるかもしれない、というぎりぎりのところがいい。
自分は、3割ぐらいの読者にはばれてもいいかな、7割の読者はひっかかってくれるかな、ぐらいの感じで書いている。

○休憩前に一言
30年前、自分が学生の頃、ハードカバーの本を買うのは大変だった。ハードカバーはその頃1000円。連城さんの新刊のハードカバーを買う時など、「えいやー」という気持ちだった。
学生でハードカバーを買うのは大変かもしれないけど、損はさせません。
立教大学のタッカーホールでイベントのとき、会場は大きかったけどみんなの顔は見えなかった。
今回はみなさんの表情がわかってよかった。

1時間半のトークセッションが終わり。綾辻さんはタバコ休憩。
その後、サイン会となりました。

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